ケース10、青森の構造欠陥雪漏れハウス
   
 
青森の3世代の大家族が住む木造3階建ての欠陥事例、地元の建設会社が建てた家での不良の数々、居住者にシックハウスも伴いトラブルになった。

建物内部の壁や造作家具の取り合い部分には隙間が発生しており、明らかに進行性が確認される。天井裏を覗いたらそこに不具合の理由が一目で分かる状況が存在してた。この建物の欠陥の主因は耐力壁の不足と金物の不設置にあった。また3階建てということもあり、風などにより日常変位を受けていることから、各所にゆがみが発生して、かつそれらが進行していた。
 
 


 壁に発生しているゆがみ。
 入り隅が肌割れしてきている。
巾木と床に隙間が出来て風が入るため、詰め物をしている。軸組と断熱施工が悪かったことが原因だ。 造りつけのカウンターが動いて隙間が発生しているのが判る。軸組不良のため各所が動いているのだ。

設計図から読み取るとすべての耐力壁の倍率は「5」となっていた。
「5」を確保する組み合わせは複数ある。標準的には45×90の筋交いをたすき掛け+石膏ボード、また両面に構造合板を張る、などだが、この建物に関しては、90×90の筋交いをたすき掛けという設計になっていた。しかし壁の厚さが105しか無く、90の筋交いがたすきで納まるような厚みはどう考えても無い。つまり筋交いはたすきが有効になっておらず、片方しか有効にはなっていなかったのだ。したがって、壁の倍率は「3」しか評価されないことになる。構造計算書の耐力壁の倍率を全て「3」にして改めて計算すると、耐震強度が不足していることが分かった。また筋交いはもちろん、梁などの仕口にも金物が使われておらず、極めて耐震上不利であるとの結果が出た。


穴は空いているが、羽子板ボルトがつけられていない。また筋交いは太い90mm角が使用されている。

継ぎ手も金物が使用されておらず、ゆがんできている。
また施工不良は軸組だけではない。屋根においては隙間が存在しており何と屋根裏に雪が積もっている状況まで確認された。
屋根裏に雪が積もっていた。屋根の施工が悪いことが原因。 屋根の鉄板があらゆるところで開いてきている。
無落雪屋根といえば聞こえは良いが、単なる鉄板屋根だ。 屋根裏に結露によるカビが発生している。通気不良と断熱不良によるものだ。

依頼者がこれらの事実を知って驚いたのは言うまでもないが、元請業者側もたいへん驚いていた。この報告を受けて下請業者らが現場に集まった。工務店の社長と、カッコだけは一人前の建築家風情の代願屋だったが、終始沈黙していた。

交渉の席が設けられ、依頼者は今まで補修を要求したのに「木は生き物だ」「乾燥収縮だ」「許容範囲だ」などと、はぐらかされてきた怒りを元請業者にぶつけた。結果、元請責任で全て補修するという約定が交わされ、その後補修工事がなされた。シックハウスの要因だった合板類も全て交換に応じ、健全な資産価値を取り戻すことが出来たのだ。

この家の教訓として、ゆがみが出て隙間が開いてきたり、風が入ってくるのは建物がゆがんできたり、断熱施工が悪いという証拠だ。進行性を確認の上で弊社に連絡することが良いだろう。



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