ケース11、日曜大工が建てた家
   
 
宮城県古川市の欠陥住宅「日曜大工の家」の問題。Mさんは退職金で、家を建設。建設業者は久しぶりの同窓会で会った同級生F工務店。「今棟梁をしている。家なら任せろ」ということで、何の疑いも無く自宅建設を依頼。
その後ひどい状況に・・・

 


小屋束の上部が寸足らず。木端を入れて調整している。

更に小屋束の下端も寸足らず。寸法取りも出来ないような日曜大工なのだ。

小屋梁にホゾ穴が等間隔に空いている。
間違えたのではなく古材を利用したということだ。


大工と言うのは嘘で、本当は基礎の型枠職人であったようだ。使用されている材料はほとんどが古材、外壁なども最も安いトタン張り、断熱や防水もいい加減、屋根には棟板金すら付けていない状況。

冬は寒いし雨は漏れるし最悪の状況から裁判を決意し、仙台地方裁判所に提訴。最初は仙台の建築士と弁護士で争っていたが、争点が絞れないどころか、納得の出来ない和解案が出されてきた。
和解案は、基本的には悪いところは直すが、大規模な補修はしないというような内容。仙台の建築士の指摘は消費者と同程度の指摘内容に若干「公庫の仕様はこうだから」という程度。公庫仕様での契約ではないし、あまり裁判では有効な評価が得られず行き詰まりを感じる。和解に合意するかしないかを迫られ、弊社に依頼が来ることに。

弊社の検査で、続々欠陥問題が確認される。屋根施工不良、断熱施工不良、古材使用、面積の相違(契約より面積が小さい)、図面との相違、基礎の不良(厚み不足、鉄筋かぶり不足)、柱の不設置による屋根傾斜の発生など惨憺たる状況。




床下の束はカスガイも根がらみもない。束が外れそうなところもある。

玄関の庇が右下がりになっている。図面には庇を支える柱が右側にもある。日曜大工が忘れてしまったようだ。

和室の柱の寸法がそれぞれ微妙に違う。また釘を抜いたような穴も多くあることから、古材の利用が考えられる。


屋根には棟板金すらついていない。雨漏りの発生は当然だ。


その時点までの訴訟のやり取りの書面を見て、争点のズレと瑕疵指摘事項の不足を指摘。Mさんは即刻弁護士に解任通知を出し、弊社に鑑定を依頼。弊社の方で弁護士を用意し、再度新しい争点にて、訴訟を再開する。訴訟の最大の争点は「時効」か否かであった。しかし時効は完成したものに対するもので、柱が無いとか屋根板金が無いのは未完成であるとの見解に基づき時効を否定する。仙台地方裁判所で審議され、主張していた瑕疵が認められ、被告の「日曜大工」に計約1200万円の支払いが命じられた。当然相手側は控訴をしてきたが、二審の判断も同様であった。裁判は争点の絞り方で明暗を分ける。鑑定書の作り方が最も重要な要素だ。


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