ケース14、長野がたがたハウス
   
 
松本市は欠陥問題が多い地域のひとつだ。そんな地域で起きた問題。
施主のSさんは若い夫婦で、建築条件付で家を購入した。売主は施工会社と同じLホーム、あまり大工の技術が良くなかったことや、引渡し時点にも不具合が多かったため、施主は支払いを留保した。するとやくざまがいの輩が支払いの請求に来る始末。代理人を立てて法廷論争になった。

基礎の亀裂から始まった。
各所に亀裂が発生。
亀裂は内部まで貫通しているものがほとんど。
裁判では裁判所が選任した鑑定人(1級建築士?)が鑑定を行った。しかし、ゆがみの程度を記載した程度の鑑定書なるものを出してきたのだが、核心が全く見えないようないいかげんなものだった。そんな状況で、一向に裁判は進まない。そして弊社に鑑定書の作成依頼が来た。


簡易補修をしたようだが、抜本的には何もなっておらず、原因の説明もない。
外壁のサイディングにも割れが生じている。
サイディングが割れることは珍しい。

検査をしたところ相当な欠陥が存在していることが分かった。基礎の問題としては地盤強度の不足、鉄筋の不設置、フーチングの不足、断裂の発生。軸組の問題としては、筋交いが無い、火打ち梁が無い、通し柱が無い。また断熱材の不良なども確認され、裁判の争点は大きく変わることになった。
問題は弊社の鑑定書が出たことで、鑑定人の顔がつぶれてしまったことだった。裁判所としてはこの鑑定人に当然意見を求めたが、この鑑定人は弊社の鑑定書に意見することも出来なかった。


断熱材がウレタンフォームの吹きつけとなっている。実はこれが原因で隙間風の発生、更には断熱性能の欠如を引き起こしていたのだ。更に筋交いが全く入っていないのをごまかすためのパフォーマンスにもなっていた。
この建物は中央部に鉄骨の柱がある特殊な
構造だが、通し柱や火打ちが見当たらない。
また構造計算も為されていなかった。

床と巾木には大きな隙間が出来ている。
壁もズレてきている。
 
裁判再開、瑕疵に対する議論が開始された。証拠調べや証人尋問が行われ、結果として判決は勝訴。「被告は原告に¥15,882,700を支払え」という、ほぼ建て直しが認められたものだった。

調査の結果火打ち梁が無いことが判った。水平剛性が不足しており、ゆがみが発生している。
床下の束柱は全く固定されておらず、
根がらみも番線もない。

基礎のフーチング幅もまったく足りていない。更には、鉄筋が入っていないことも判明した。悪質極まりない手抜き工事の数々だ。
 
この事案においての教訓は裁判所が選任した鑑定人であっても、優秀かどうかは別問題。それを見極めることも重要なのだ。

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