ケース16、宮崎欠陥レストラン
   
このレストランは創作料理が売りで、遠方からもお客さんが来るという評判のいいレストランだ。私も検査のときにご馳走になったが、中々素敵な料理を出してくる。

しかしこれも悲惨な欠陥建築だった。相手業者は欠陥問題ばかりか、土地の賃貸借契約においてもおかしなことが為されていた。Iさんはレストラン経営をするために土地を購入し、レストランの設計に詳しい知人に設計を依頼しようと考えていたところ、相手業者で土地の売主でもあるAハウスから「この土地は当社の建築条件付の土地なので、当社で設計施工しなければ困る」と通知された。Aハウスは地元で建売住宅などを販売してはいるものの、あまり評判の良い業者ではないよう。しかしIさんはどこで建てても同じかなと、最終的には合意しAハウスに依頼することになった。それが悲劇の始まりでもあったのだ。


浄化槽が浮いてきている。
浄化槽工事に関して無資格の左官業者に施工させたことが判明、浮力対策は全く行われていない。

おかしいと思ったのは浄化槽の設置位置の問題からだった。Iさんが購入した土地にレストランと浄化槽は幾何学的にはきっちり納まるはずなのに、Aハウスはわざわざ隣接する自分名義の敷地に浄化槽を配置したプランを示したのだ。Iさんが「自分の敷地内に設置して欲しい」と言っても、訳のわからない言い訳をして、土地の賃貸契約をさせられてしまった。

外壁材の裏が見えることから、防水シートが張られていないことが判る。
また筋交いには全く金物が使われていない状況も確認できる。

施工は大幅に遅れオープン予定日がずれ込んだ。また雑な仕上げが目立ち、床などはガタガタでテーブルも揺れる始末。Aハウスは直すと言ったが、開店日が迫るも対応無し。やむなくオープンしたものの電気設備の不良や厨房設備の不良が多く、仕事にならない日も多々。業を煮やしてAハウスに修繕要求するも、調子の良い返事ばかりで何も対応せず。そんな中、浄化槽の廻りの駐車場アスファルトが5センチほど沈下したような状況が確認され、Iさんは弊社に検査依頼をしてきたのだった。

登り梁が寸足らずで、端部で継ぎ足されており、金物固定も見受けられず、また羽子板ボルトが設置されるべき穴が空いている状況。

検査で判明した事実は、アスファルトの沈下ではなく実は浄化槽が浮いてきているということ、断熱材が全く設置されていないこと、防水紙が設置されていないこと、筋交いが一部欠損していること、軸組における金物がほとんどないこと。基礎の鉄筋が全く入っていないこと、地盤調査が為されていないこと。また厨房においては、コンロ廻りに可燃性の板が張られていること、排気ファンの能力が極端に小さいこと、電気配線が床の土間に埋め込まれているため漏電が発生していること、などなど多数の欠陥不良工事だった。


宮崎県は台風の影響を受けやすい地域だが、あおり止め金物が全く設置されていない。

一部鉄骨梁が補強で入っているが、ボルト固定も無くまた梁成も不足していた。

窓の横の外壁を破壊検査したところ、防水紙も防水テープも断熱材も施工されていないことが確認された。
厨房の排水は目皿のみ。普通はグレーチングのある側溝を設ける。
電気配線も床に埋設されている。位置を間違えたため、踏まれてしまう状況だ。普通は漏電を避けるために壁の高い位置などに配線するものだ。
火廻りに可燃性の合板が使われている。これでは火事になってしまう。

弊社検査結果を裁判鑑定書として作成、東京の弁護団を伴い訴状の作成を行い、同時に仮差押の手続きを行うことになった。施工の悪質性から言って仮差押は比較的スムーズに行われたが、開放金は積んでこない。

相手の答弁は全く建築を理解していないためか、論点が大幅にずれており話しにならないものだった。また相手方の弁護士も何の下調べもせずにAハウスの言うがままの主張を記すだけの書証を提出してくる始末。

Aハウスからは未だに反論らしきものは未提出である。



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