ニュースな欠陥マンション

長野の欠陥マンション

柱、梁の架構で構成される鉄筋コンクリート造の建物は、柱、梁の変形能力に対し、付随する壁に亀裂が発生しない様、構造スリットが計画される。また、コンクリートの打ち継部には打ち継ぎ目地、バルコニーや外廊下等には収縮による亀裂を誘発させる誘発目地、外装タイルの浮き、割れ、剥落を防止する為のタイルの伸縮目地等、各部位の用途に応じて様々なスリットや目地が計画、施工されている。建物調査の結果、本件建物に発生する亀裂や漏水並びに浸水によるエフロは、これらの目地及びスリットの施工不良並びに防水端部の施工不良及び防水の欠落を起因とするものであり、経年やコンクリートの乾燥収縮によるものではない事が明らかである。また、吹き厚の少ない外壁断熱材により、室内にはカビや結露が発生し、建物の居住性を大きく損ねている状況である。建物検査で指摘される項目は真摯に受け止め、建物の基本性能並びに居住者の信頼を回復する為の誠意ある対応が、売主の責務であり望まれるものであると考えられる。
売主:長野の㈱地所
施工:民事再生したなまいきなゼネコン
設計:東京の設計

欠陥1:構造スリットの施工不良

3階の柱構造スリットはシーリング厚み約4mm、ドリル穿孔によるスリット深さは20mm以下である事が確認出来る。 図面で指定するシーリング厚みは15mm、スリット深さは50mm以上であり、構造スリットの施工不良または欠落であると考えられる。

構造スリットの施工不良


欠陥2:エフロが発生

柱構造スリット脇の窓下に亀裂が発生し、浸水によるエフロが確認出来る。 亀裂の発生要因としては、開口部補強筋の欠落等が推察されるが、構造スリットの施工不良により、スリットが有効に働かず、柱変形応力の伝播による影響が考えられる。

エフロが発生


欠陥3:エフロが発生

外廊下手摺壁に亀裂が発生し、浸水によるエフロが確認出来る。
亀裂脇に施工された誘発目地はシーリング厚みが約4mmであり、機能せず、改善が必要である。

エフロが発生


欠陥4:タイル伸縮目地の施工不良

1階側外壁面の柱の構造スリットは、タイル面に目地が確認出来ず、施工状況が不明である。
また、他の目地と同様にシーリング厚みが4~5mmであり、目地施工不良が確認出来る。

タイル伸縮目地の施工不良


欠陥5:打ち継目地の施工不良

7階北妻壁面の打ち継目地のシーリング厚みが3~4mmである事が確認出来る。 シーリング材の厚み不足は付着強度が期待出来ず、材の劣化を早め、漏水を起こす懸念がある為、抜本的な改善が必要である。

打ち継目地の施工不良


欠陥6:貫通ダクトの施工不良

1階の梁を貫通するダクト。梁貫通位置は、梁端部(スパンのL/4以内)を避け、また貫通口の間隔は(φ1+φ2)×3/2以上としており、図面の仕様規定に適合していない。特に梁端部は応力の掛かる部位であり、相当の補強が必要である。

貫通ダクトの施工不良


欠陥7:鉄筋のかぶり厚さ不足

屋上のパラペット鉄筋のかぶり厚さ不足が確認出来る。
鉄筋の爆裂によるパラペットの損傷を防ぐ為にも改善が必要である。

鉄筋のかぶり厚さ不足


欠陥8:塗布防水の未施工

7階のルーフバルコニーパラペットはコンクリート打ち放しであるが、図面ではコンクリート金ゴテの上塗布防水が指定されており、図面の通り改善が求められる。

塗布防水の未施工


欠陥9:断熱材の厚みが不足

3階の外壁断熱材厚みも図面で指定する断熱材厚み30mmに満たず、改善が必要である。

断熱材の厚みが不足


欠陥10:防水施工不良

5階のルーフ、パラペット立上り防水端部の浮きがあり、改善が必要である。

防水施工不良


欠陥11:排水不良

3階ルーフ排水ドレーン廻りに群生する植物。
維持管理の問題でもあるが、ドレーン廻りの排水性も指摘される所である。

排水不良


欠陥12:断熱材の欠落

2階店舗床下面に断熱材が敷設されていない。
図面ではポリスチレンフォーム3種厚み55mmが指定されており、断熱欠落に対する改善が必要である。また、1階が駐車場に当たる、床下面も同様の状況である事が推察出来る。

断熱材の欠落


欠陥13:黒カビ

6階の北側外壁面には黒カビが発生し、外壁断熱材の厚みが約17mmである事が確認出来る。
本件建物が所在する松本市は断熱工事地域区分Ⅲ地域に該当し、図面で指定する断熱材厚み30mmが最低基準であり、断熱材厚み17mmはⅤ地域(宮崎県、鹿児島県)に該当する。
外壁に発生した黒カビは断熱性能不良による、結露が主要因であると考えられる。

黒カビ