第三者機関とは

・黒いものを黒と言える
・建設業界の習慣に左右されない
・正しい知識や法律を武器に消費者エージェントとしての機能を果たす
私が考える第三者機関の定義は、ずばり「黒いものを黒と言える」「建設業界の習慣に左右されない」「正しい知識や法律を武器に消費者エージェントとしての機能を果たす」と言った事であります。
また最も重要な要件として「もの造り」、つまり設計や監理や施工に現在手を染めていないということも絶対条件でしょう。
平成12年に住宅の品質確保の促進等に関する法律が施行され、住宅性能評価機関が国土交通省より弊社も含め100社あまりが指定されました。しかしこれらの性能評価機関の中には、ハウスメーカーや建材メーカーやゼネコンなどが出資していたり、また外注されて実際現場で検査する検査員たる建築士達は未だ傍らで設計事務所に所属し、自ら図面を引いているような人だったりして、おおよそ第三者機関とは程遠い現実があります。
弊社が業務を開始して此の方、第三者機関と自称する団体が雨後の竹の子のように増えました。同時にそれらの第三者機関の行った検査内容に関して弊社に検査依頼が来るなど、イタチごっこのような状況まで発生している現実もあります。
また第三者機関を装い、自らの会社にて設計や施工を受注するなど、消費者を混乱させる団体も出現し、第三者機関そのもののイメージダウンも懸念されるところです。
そこで下記の絶対要件を満たしていないところには依頼しないでください。
設計や監理、また施工などは一切行っていないこと、
検査が専門であること

設計者や施工者は対象建築物の検査を行う際に、「自分ならこうする」「俺の方が上手くできる」など自分たちの経験や知識のみが判断材料となって、公正な判断ができない場合があります。またいつ自分たちも責められる立場になるやも知れずといった危機感も払拭できないこともあり、公正な判断ができるとは思えません。

企業や習慣に対して怯まずに正しいことを発言できること、
業界との経済的依存関係なし

一消費者からの調査依頼によって、企業から恨まれて仕事を失うようなことをする設計事務所があるでしょうか?おそらく無いでしょう。また建設業界にどっぷりと浸かっている技術者は悪しき習慣から脱却できない人が多く存在しています。このような人たちに検査を依頼したらどうなるか?と言ったことはもうお分かりでしょう。

主催者が建築士などの技術者であること、
素人集団ではないこと

主催側に技術者が居ない組織は、雇用される技術者の程度によって、検査業務の質が大きく異なってくる場合が考えられます。第三者機関の多くは建設業界とは無関係の人たちが立ち上げている状況を多く目にしますが、やはり複雑な建築を判断することは、技術者の仕事です。技術者の集団であるべきでしょう。

 上記のような機関で検査をした後、弊社に検査を依頼してくる人が最近たいへん増加しております。金銭的にも時間的にもたいへんな損害であることは言うまでもありません。検査を行うに際して費用対効果を得るには、最低でも上記の要件を確認することですね。
住宅業界に関してはそもそも企業と消費者の契約ですので契約自体が対等ではありません。企業は情報力、交渉力もさることながら、人数、資金力においてもはるかに有利であり、尚且つ個人建築士や中小の施工業者程度は容易に黙らせる力をも有しております。
それに引替え消費者は情報力、交渉力、人員、資金力等においては明らかに無力であり、弊社に依頼出来ない方々の多くは泣き寝入りを強いられているはずです。正しい観点で第三者機関を選択することが、消費者の正当な権利の主張を可能にします。
また最近よく見かける第三者機関として、主体となっている人物が技術者ではなく、業界を横から見てきたウェブ技術に長けた人などが中心となっているものが目立ちます。これらの機関の主体は、当然検査や判定能力が無い状況において、仕事の無い設計事務所の建築士をネットワークして仕事があれば派遣する、といったサービス形態となっております。主体が技術者ではないといっても何らか建築関係の経験はあるのでしょうが、検査の精度や品質が、派遣される建築士の能力などに大きく左右される状況があったり、また検査担当者のイデオロギーの統一が図れていないことや、もの造り側の考え方を払拭出来ていないなど、反って消費者からの不満の声も聞かれる状況です。弊社としては「敵は同業者」かも知れないと思いはじめています。