CASE001.三重桑名市、欠陥マンション-1-

売主:三交不動産
施工:鴻池組
設計:白井設計

亀裂の原因はアンボンド管の配置計画上の不備により、床スラブの剛性が不足したために発生した撓みによるもの。設計上の問題と捉えられる。

アンボンド工法とは

プレストレスコンクリートの一種で、スラブコンクリートに鋼線を予め打ち込んで、一定の強度が出たときに緊張を与え、スラブに圧縮応力を与える。
供給側にとっては、室空間に梁型が出ないように計画することが出来るため、階高を低く抑えられるので、結果として住戸数を増やすことが出来る。

アンボンドの欠点、問題点は

有効スラブ厚が薄くなり、板振動を起こしやすくなり、結果として遮音効果が著しく低下する。

(画像1:基準階の平面図 アンボンド管の配置)
(画像2:アンボンド管が挿入されていない!
15階Eタイプバルコニーの床スラブは室内床面-約200mmの段床である。図面では段床の表記は無く、バルコニー外側に計画されたPC鋼線、緊張端については工事状況の解明が求められる。)

欠陥1:スラブのたわみによる傾斜の発生!

15階Gタイプ キッチンに於いて、システムキッチンワークトップに12mmの傾きが確認出来る。
アンボンド管の設置不良が原因。

欠陥2:一階床がデッキプレートに変更されている

1階床スラブはフラットデッキを使用し、基礎梁(FG梁)を2度打ちしている事が確認出来る。
フラットデッキは梁に差し込まれているが、梁幅をふかす等の施工上の配慮が無く、梁断面欠損と考えられる。

欠陥3:柱や梁の各所で鉄筋のかぶり厚さ不足

鉄筋探査機による測定状況
かぶりが18mmしか無いことが確認出来る。設計図書では50mmが指定されている。