事件簿016.宮崎欠陥レストラン-1-

今日発プラス 2006/10/10放送

このレストランは創作料理が売りで、遠方からもお客さんが来るという評判のいいレストランだ。私も検査のときにご馳走になったが、中々素敵な料理を出してくる。
しかしこれも悲惨な欠陥建築だった。相手業者は欠陥問題ばかりか、土地の賃貸借契約においてもおかしなことが為されていた。Iさんはレストラン経営をするために土地を購入し、レストランの設計に詳しい知人に設計を依頼しようと考えていたところ、相手業者で土地の売主でもあるAハウスから「この土地は当社の建築条件付の土地なので、当社で設計施工しなければ困る」と通知された。Aハウスは地元で建売住宅などを販売してはいるものの、あまり評判の良い業者ではないよう。しかしIさんはどこで建てても同じかなと、最終的には合意しAハウスに依頼することになった。それが悲劇の始まりでもあったのだ。

おかしいと思ったのは浄化槽の設置位置の問題からだった。Iさんが購入した土地にレストランと浄化槽は幾何学的にはきっちり納まるはずなのに、Aハウスはわざわざ隣接する自分名義の敷地に浄化槽を配置したプランを示したのだ。Iさんが「自分の敷地内に設置して欲しい」と言っても、訳のわからない言い訳をして、土地の賃貸契約をさせられてしまった。

施工は大幅に遅れオープン予定日がずれ込んだ。また雑な仕上げが目立ち、床などはガタガタでテーブルも揺れる始末。Aハウスは直すと言ったが、開店日が迫るも対応無し。やむなくオープンしたものの電気設備の不良や厨房設備の不良が多く、仕事にならない日も多々。業を煮やしてAハウスに修繕要求するも、調子の良い返事ばかりで何も対応せず。そんな中、浄化槽の廻りの駐車場アスファルトが5センチほど沈下したような状況が確認され、Iさんは弊社に検査依頼をしてきたのだった。

欠陥1

浄化槽が浮いてきている。
浄化槽工事に関して無資格の左官業者に施工させたことが判明、浮力対策は全く行われていない。

欠陥2

外壁材の裏が見えることから、防水シートが張られていないことが判る。
また筋交いには全く金物が使われていない状況も確認できる。

欠陥3

登り梁が寸足らずで、端部で継ぎ足されており、金物固定も見受けられず、また羽子板ボルトが設置されるべき穴が空いている状況。