CASE003.東京欠陥マンション

売主:㈱民事再生
施工:つぶれそうな㈱東京支店
設計:㈱消えた設計一級建築士事務所

耐震強度偽装事件により、社会的に建物の耐震強度に対する不振、不安、疑念等が突きつけられている状況であり、本件建物も同様の背景があると考えられる。
建物を供給する側は、それらの不安を払拭する為にも、トレイサビリティ(追跡履歴)による工事監理履歴、工事写真、構造計算書等の情報開示を行ない建物の信頼性を高める事が重要である。
建物調査に於ける指摘事項に対しても、引き続き善処する姿勢により、耐震に対する安全性が確認される事が望まれる。

欠陥1:構造スリットが無い

柱右側の構造スリットは確認出来るが、左側の施工が確認出来ない。

欠陥2:吸気口の施工不良
脱気筒が無い

梁を貫通して設置された排気口。
梁スパン(8200mm)の1/4以内である柱際での貫通は応力が掛かる部位である為、望ましい位置とは言えず、構造仕様書に記載のある梁端部専用補強筋の設置状況について明らかにする必要がある。

屋上は外断熱アスファルト防水であり、現状膨れ等は確認出来ないが、脱気筒の設置を要すると考えられる。

欠陥3:ダクト廻りの不燃材の欠落

ダクト等の梁貫通部の隙間は不燃材で充填される必要があるが、一部にその施工が欠落している。

欠陥4:遮音壁の施工不良

内部仕上表にはEVに接する住戸壁として、RC壁t=180以上+断熱材+PB(t9.5)+遮音シート+PB(t9.5)との記載があるが断熱材までの施工となっている。

欠陥5:石膏ボードの施工不良

壁に使用されている石膏ボードの厚みは9.5mmであるが、内部仕上表では厚み:12.5mmと記載されており、現状と一致しない。